駅や商業施設でよく見かける光景。
エスカレーターの片側を立ち止まる人、もう片側を歩いて急ぐ人。
「早く行きたいなら歩いた方が得だよね?」
確かに個人にとってはその通りです。
しかし、人全体の流れで考えると、必ずしもそうとは限りません。
個人の視点:歩くと速い
もし自分一人しかいないなら、歩けば確実に早く上まで到着できます。
たとえば20段のエスカレーターなら、立つと30秒、歩けば15秒。
ここだけを切り取れば「急いだ方が得」という直感は正しいです。
集団の視点:効率は下がる
エスカレーターはベルトコンベアのようなもの。
ここで大事なのは 流量=単位時間あたりに通過できる人数 です。
・立つ人:1段ごとに1人詰められる
・歩く人:歩幅のため2〜3段空けて乗る
すると、片側を「歩く専用」にした場合、実は1分あたりに流れる人数が減ってしまいます。
数字で見てみると
仮にエスカレーターが100段あるとしましょう。
- 立つだけの場合
左右にぎっしり乗れば 100人 + 100人 = 200人 - 片側歩く場合
歩く側は間隔が空くので 50人
立つ側は 100人
合計 = 150人
👉 200人 vs 150人
つまり、混雑時には「全員が立った方が輸送力が大きい」のです。
世界の事例
ロンドンの地下鉄では「ラッシュ時は両側に立ちましょう」というキャンペーンが行われました。
結果として、全員立った方が列が早く消化されることが実証されたそうです。
まとめ
・個人:歩けば早く着ける
・集団:全員立った方が効率的
エスカレーターでの「急ぐ or 立つ」問題は、数学的に考えると答えが変わります。
次に駅で並ぶとき、少し意識してみると面白いかもしれません。
コメントを残す