保険は私たちの生活に欠かせない仕組みの一つです。
生命保険、医療保険、がん保険、自動車保険など、数多くの種類があり「入っておいたほうが安心」と勧められることも多いでしょう。
しかし一方で、「保険は結局損をする仕組みなのでは?」という疑問を持つ人も少なくありません。
実際、私自身も大学を卒業してすぐに医療保険を契約しましたが、冷静に数字で考えてみると「本当に必要だったのか?」と感じた経験があります。
数学的に見ると、保険は 期待値(平均的に得られる金額) という概念で理解できます。
本記事では、実体験を交えながら「保険と数学の関係」について詳しく解説します。
1. 保険とは「確率の取引」である
まず理解しておきたいのは、保険は本質的に「確率の取引」であるということです。
- 事故や病気でお金が必要になる確率は低い
- しかし、起きてしまったときの損失は大きい
このギャップを埋めるのが保険です。
つまり、保険会社は「大勢から少しずつお金を集め、万一の人に大きく支払う」仕組みで成り立っています。
数学的に表すと、保険の期待値は 支払額 -(発生確率 × 補償額) で考えることができます。
2. 医療保険を例に期待値で考える
ケース:入院費の補償
ある医療保険が「入院1日につき1万円支払う」とします。保険料は月額3000円。
統計的に若い世代(20〜30代)が1年間に入院する確率は 約1%以下 だと言われています。
仮に平均入院日数を7日とすると、
- 期待される補償額:1% × 7万円 = 700円
- 年間の保険料:3,000円 × 12か月 = 36,000円
つまり、期待値的には毎年3万5000円ほど損をする計算 になります。
もちろん、実際に入院したら7万円以上の補償が受けられるので助かりますが、数学的には「保険会社が得をするように設計されている」と分かります。
3. 実体験:私が保険に入って感じたこと
私は新社会人のときに医療保険に入りました。「月3000円なら安心料として安い」と思ったからです。
しかし、実際には社会人5年間で入院も手術も一度もなく、合計で 18万円以上の保険料を払い続けていただけ になりました。
そのお金を積み立てていたら、突然の入院費にも十分対応できたはずです。
一方で、同僚は同じ時期に手術で10日入院し、保険から10万円以上の給付を受けて「助かった」と言っていました。
この経験から、保険は数学的には損でも、人生における安心感やリスク対策として意味がある と理解できました。
4. 保険が必要な場合とは?
数学的な期待値だけを考えると「ほとんどの保険は損」です。
では、どんな場合に保険が必要になるのでしょうか?
(1) 支払えないほどの損失に備えるとき
- 自動車保険(事故で数千万円の賠償が発生する可能性)
- 火災保険(家が全焼すると数千万円の損失)
これらは「万一の損失が大きすぎて貯金でカバーできない」ので入る意味があります。
(2) 家族への経済的備えが必要なとき
- 生命保険(残された家族の生活費)
これも万一のリスクが大きく、合理性があります。
(3) 自分の生活習慣やリスクが高い場合
- 家族にがんの既往歴がある
- 喫煙習慣がある
このように「発生確率が高い人」には医療保険も有効です。
5. 数学的に損を減らす保険の選び方
ポイント1:必要最小限に絞る
「掛け捨て型で大事故や大病に備える」ことが合理的です。小さな医療費は自分で積み立てて対応できます。
ポイント2:確率と補償額を数字で考える
例えば「入院1日1万円」の補償があっても、そもそも入院確率が低ければ不要。統計データを調べてから判断すべきです。
ポイント3:積立型は投資と比較する
「積立型保険」は利率が低いことが多く、投資信託やNISAの方が効率的に増えるケースがほとんどです。
6. 実体験から得た結論
私は社会人になってから医療保険をやめ、その分を 貯金+投資信託 に回すようにしました。
結果、数年後には「もし入院してもすぐに払える」資金が自然と貯まりました。
ただし、自動車保険や火災保険は今も継続しています。
これらはリスクが非常に大きいため、数学的にも合理性があるからです。

