数学で見抜く“見せかけのおトク”―セールの罠とその正体


買い物中、「今だけ50%OFF!」という文字を見ると、つい財布のひもがゆるんでしまう――そんな経験、誰にでもありますよね。

でも本当にそのセール、おトクなんでしょうか?

実は、多くの「お得そうな」表示には、数学的に見るとカラクリがあるのです。

実体験:思わず買った“半額”の服

ある日、ショッピングモールで「全品半額!」のポップが目に入りました。

前から気になっていたジャケットが13,000円→6,500円になっていたんです。

「半額なら買うしかない!」と即決。

ところが、後日同じブランドのオンラインストアを見てみると

――そのジャケットの定価は10,000円

つまり、セール前の値段がそもそも吊り上げられていたんです。

こうしたケース、実は珍しくありません。

一見おトクに見えても、数学的に冷静に考えれば損をしていることが多いんです。

割引の「数字マジック」

セールの割引表示には、いくつかの“数字マジック”が隠れています。たとえば:

表示実際の割引率印象の違い
20%OFF + 20%OFF実際は36%OFF40%OFFではない
「2つ買うと3つ目無料」実質33%OFF「1つ無料」で強い印象
「最大70%OFF」ほとんどの商品は10〜20%ごく一部だけ大幅割引

特に「◯%OFF+◯%OFF」のトリックは要注意です。

たとえば1万円の商品に「20%OFF+さらに20%OFF」と書いてあっても、

10,000円 → 8,000円(1回目の20%OFF) → 6,400円(2回目の20%OFF)

つまり**実際の割引率は36%なんです。

「40%OFFだ!」と勘違いしてしまう人は多いですが、これも数学的に考えれば一瞬で見抜けます。

「ポイント還元○%」も冷静に見ると…

最近は「ポイント還元5%」や「PayPayで10%戻ってくる」などもよく見ますね。

でも、ここにも数字の落とし穴があります。

たとえば、1万円の商品を10%還元で買うと、1,000円分のポイントが戻ります。

一見1,000円得したように感じますが――

そのポイントを使うときに制限がある(有効期限や対象外商品など)ことも多いんです。

つまり、「還元=値引き」ではなく、条件つきの割引なんです。

これも「割引率」や「有効活用率」を考えることで、数学的に実質価値を見積もれます。

数学で“真のおトク”を見抜く3つの視点

数学を使えば、見せかけの数字に惑わされず、本当の価値を判断できます。

ポイントは次の3つです。

① 割引率ではなく「支払総額」で比較

たとえば:

  • A店:10,000円→30%OFF=7,000円
  • B店:8,000円→10%OFF=7,200円
    ぱっと見ではAのほうが安そうですが、送料が500円なら…
    A店=7,500円、B店=7,200円。
    B店のほうが安いですよね。

見かけの割引率ではなく、最終的な支払額を考えるのが数学的な判断です。

② 「×個買うとおトク」は1個あたりの単価で考える

たとえば「2個で500円」と「1個280円」の場合、

2個で買えば1個あたり250円

こうした単価計算(単位あたりの値段)こそが、数学的節約の基本です。

実際、私はスーパーで「大容量パックがおトク」と思って買ったら、

小さいパックのほうが1gあたり安かったことがあります。

冷静に1g単価を見れば、簡単に判断できるんです。

③ 「時間×お金」の効率も考える

セールに行くために往復1時間かかるなら、その移動コストも無視できません。

もし時給1,000円として、1時間使って500円得しただけなら、実質損です。

これは「機会費用」という考え方で、経済学的にも数学的にも大事な概念。

数字を使うと「損しない自分」になれる

私たちは日々、数字に囲まれています。

しかし「数字に惑わされず、数字で考える」力があるだけで、

生活の質はぐっと上がります。

  • 割引率よりも支払総額を見る
  • ポイントよりも実際の還元価値を見る
  • 「安い」よりもトータルでおトクを考える

これらはすべて、数学の基本的な考え方――比・割合・単位あたりの考えにすぎません。

学校で学んだ算数が、実はそのまま節約スキルになるんです。

まとめ:数学は「生活防衛の武器」

「数字に弱い人」ほど、見せかけの広告にだまされやすくなります。

でも数学を味方につければ、冷静にお金を守ることができます。

数字を理解することは、自分をだまさない力でもあるのです。

PROFILE


タカハシ

国立大学理系学部→某メーカー勤務

日常生活に数学を取り入れる新たな節約を考案。

約15万円/年の節約に成功。

現在は本サイトやnoteなどで数学を用いた節約法を発信中。

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